尊厳死宣言は、回復の見込みのない末期症状に至った場合、現代医学と科学技術がもたらした過剰な延命医療を差し控え、死期を引き延ばすことなく、人間としての尊厳を保ちつつ死を迎えることを、医療従事者や家族に対して宣言することです。これを公正証書にすることにより、生前の自己の意思を明確にしておき、医療従事者や家族が、その意思に従った措置をとるよう依頼するものです。
1. 延命治療の差し控え、中止、が許される場合としては(ほぼ一般的に了解されている見解)、医学的所見により当該疾病が不治であること、死期が迫っていること、延命治療が人工的に死期を引き延ばすだけの状態にあることをが必要とされ、その判定には医師2名の一致した診断を要するとされております。
2. 医療の現場では、本人の意思のほか、家族の了承が重んじられている実情があるので、予め家族の了解を得ておくことが望ましく、その旨を公正証書に記載しておくとよいでしょう。
3. 現実に延命治療を差し控え、中止するのは医療当事者であり、家族の同意などのもとで行われるところ、医師等の中には刑事捜査の対象になったり、訴追されることを懸念して消極的にならないとも限らないので、捜査機関に対し、そのようなことにならないように望むことを記載しておくことが多い。ただし、捜査、訴追の対象になるか否かは、個々の事実関係によるものであり、望まない旨の記載の一事をもって常に免責されるわけではありません。
4. 尊厳死宣言は、治療行為の時点に必要であるところ、その際にはおよそ判断能力を欠く状態であるので、判断能力のある状態のときに(公正証書によって)撤回しない限り有効である旨を記載しておき、無用な混乱を解消しておくのが通常です。
1 提出していただく資料
ア 印鑑登録証明書と実印